「Making The Grade」は、ブラッドリー・チェンバース氏が教育現場におけるAppleの活用を特集する週刊シリーズです。ブラッドリー氏は2009年から教育現場でAppleデバイスを管理してきました。数百台ものMacと数百台のiPadの導入・管理経験を活かし、Apple製品の大規模運用における活用方法、IT管理の現場から得た知見、そして学生向けにApple製品を改善できる点について解説します。

以前、AppleがID管理ソリューションを欠いていたことが、GoogleのChromebookとの教育市場における優位性争いにおいて、Appleに不利に働いたことについて書きました。今週は、Appleの歴史を少し振り返り、 K-12教育におけるAppleの最大の過ちの一つについて解説したいと思います。そして、それはApple以外の誰もiPadについて考えていなかったずっと前の出来事でした。

2001年に、AppleはPowerSchoolという会社を買収しました。

「Appleは、教師の指導と生徒の学習を支援してきた伝統を持っています。私たちは今、その使命を拡大し、学校運営の効率化も支援することを目指しています」と、AppleのCEO、スティーブ・ジョブズは述べています。「PowerSchoolを買収し、その優秀な人材をAppleに迎え入れることで、私たちは瞬く間に、ウェブベースの生徒情報システムを提供する全米屈指のプロバイダーとなります。」

今日、プレスリリースを読み返して、日付が2001年3月であることに正直驚きました（いえ、これはタイプミスではありません）。Appleが米国を代表するウェブベースの学生情報システムを買収したのは、初代iPodを発表する7ヶ月前でした。PowerSchoolを買収したのは、Flickrが誕生する前、Diggが立ち上がる前、そしてFacebookがハーバード大学に進出する前でした。

Apple のリーダーシップの下でこの製品がどうなったのかはわかりませんが、2006 年に Pearson に売却されました。Apple が製品を所有していた当時、私は大学生でしたが、Apple が製品を所有していた期間中に何をしていたのか、もっと詳しく知りたいです (ご存知でしたらコメントを残してください)。

「Appleの教育への取り組みはかつてないほど強まっており、だからこそピアソンとの協力関係をさらに深めることができて大変嬉しく思います」と、Appleの教育担当副社長、ジョン・カウチ氏は述べています。「お客様は、ピアソンの教育コンテンツをiPodでお楽しみいただけることにきっとご満足いただけるでしょう。PowerSchoolはピアソンと共に今後も発展し、成長していくと確信しています。」

2018年の今、ほとんどの学区の現在のテクノロジースタックについて考えてみると、サービスが多くの意思決定を左右していることに気づきます。「今あるものと連携できるだろうか？」「今あるものと統合できるだろうか？」

統合と互換性という言葉は、よく使われるものです。もしAppleがSISベンダーの大手（PowerSchoolは今でも非常に人気があります）を所有していたら、学校のソフトウェアスタックのトップに君臨していたでしょう。生徒データベースをiPadと統合するのがどれほど簡単か想像できますか？

多くの学校はG SuiteとGoogle Classroomに大きく依存していますが、Appleはソフトウェア面でその解決策を持っていません。AppleはGoogleと比べて非常に強力なアプリエコシステムを有していますが、高度なデータ管理部門ではGoogleが優位に立っています。

教育現場をめぐる争いが激化する中、Appleが2006年にPowerSchoolを売却した決定は、K-12教育分野において同社史上最悪の決断の一つと言えるでしょう。もしAppleが現在もPowerSchoolを所有していたら、多くの学校はChromebookの導入を検討すらしなかったでしょう。Appleが独自のSIS（School System）を保有していれば、iPadやClassworkなどのアプリとの連携オプションを豊富に提供できたはずです。

PowerSchoolは現在、13,000の学区にまたがり、3,200万人の生徒、6,600万人の保護者、そして1億人のユーザーを抱えています。この市場は本来Appleが独占すべきものでした。ところが、Appleは自らコントロールできないスタックの重要な部分に依存しているのです。

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